スムースコートチワワ

Smooth Coat Chihuahua

スムースコートチワワの歴史

メキシコを原産地とするチワワは世界一小さな犬として知られています。
祖先犬は古代メキシコに存在したとされる「テチチ」という犬と考えられていますが、現在のチワワほどは小さくなかったようです。
テチチの記録や遺骨は9世紀以降に出現していますが、テチチに近いものの遺骨はユカタン半島のチチェンイツァ遺跡にあるマヤ文明のものと思われる墳墓などでも見つかっているとされています。

その後、紀元15世紀ころには初めてアメリカ大陸を訪れたコロンブスによって報告されていますが、コロンブス亡き後、16世紀のスペイン軍による南米侵攻の際に、テチチたちは行き場を失ってしまい、滅亡の危機にさらされました。
長い間消息が分からなくなっていたテチチは、1850年になって発見されました。3頭のテチチたちが見つかったその地はメキシコのチワワという町で、発見者はアメリカ人でした。そのためチワワたちはアメリカに持ち帰られ、犬種の固定化が図られることになったのです。
この時のチワワたちはスムースコートで、その後50年をかけて繁殖と育種が行われる中で、ロングコートチワワが誕生したのは20世紀に入ってからと言われています。

アメリカでの育種でサイズが固定され、容姿の洗練されたチワワたちは、1904年にアメリカンケネルクラブに登録されましたが、あまりにも小さいサイズであり、猟にも使えず牧羊もできないため使役犬を兼ねることができず、当初はあまり人気がありませんでした。
しかし、近代工業が発達して都市化が進み、犬は使役よりもペットとして飼うことが当たり前になってくると、逆に家庭で飼いやすい大きさのペットとして注目されるようになりました。
アメリカでも近年では登録頭数上位20種の常連になっています。
日本に本格的に輸入されるようになったのは1970年頃のことでしたが、近年、都市化の影響でペット可マンションなどが増加し、住宅事情に合っていることから小型犬や超小型犬に人気が集まるようになりました。

スムースコートチワワの飼い方

スムースコートチワワは、なわばりや仲間への防衛意識が強い傾向があり、成長するに従って吠えたり威嚇したりする可能性があります。そのため、子犬のころから積極的に外に連れ出して、ほかの犬や人に接する機会を作り、警戒心を薄めてあげましょう。
怖いもの知らずな面もあり、大きな犬に吠えかかることもしばしばあります。
やや頑固な面があるためしつけは根気よく、工夫をしながらおこないましょう。

体が小さいため、運動量そのものは室内だけでも事足ります。
しかし、怖がりの面をなくし、落ち着きをもたせるには、外に出てさまざまな経験をすることが大切です。
1日2回、各20分程度の散歩に行くようにしましょう。
体重が増えすぎてしまうと関節に負担がかかります。肥満防止のためにも運動は欠かさずにおこないましょう。

チワワは温暖な国が原産であり、冬の寒さは苦手です。
最近は犬用の衣類でも暖かいものが多くありますので、用途に応じていくつか用意してあげたいものです。
室内は一年を通して、温度管理を十分におこなってあげましょう。
スムースコートは毛の手入れは楽ですが、抜け毛が多い傾向にあります。
放置しても絡まることはありませんが、抜け毛が床に落ちてしまうため、こまめにブラッシングをしてお手入れしてあげるとでしょう。

スムースコートチワワの毛色

スムースコートチワワはブラック&タン、ブラック&ホワイト、クリーム、ホワイト、フォーン、レッドなどがあります。
マール及びマール＆ホワイトは遺伝性疾患の確率が高くなるため認められていません。

スムースコートチワワの気を付けたい病気

スムースコートチワワに起こりやすい病気は、眼病や膝蓋骨脱臼、神経疾患のほか、口の中で上あごの肉が垂れ下がってくる軟口蓋過長（なんこうがいかちょう）、外鼻道狭窄（がいびどうきょうさく）などの解剖学的構造による「短頭腫気道症候群」などが知られています。

大きな目を持っているチワワは、いろいろな眼病が起こりやすく、結膜炎、ドライアイ、角膜潰瘍、白内障、緑内障などがあります。放置すると失明に至ることもあるため、おかしいなと思ったら早めに病院へ行きましょう。

生まれつき膝蓋骨が脱臼しやすい子もいます。散歩のときにケンケンする、少し足を着きにくくするといった様子が見られたら、一度病院でチェックするようにしましょう。また、骨がとても細いので、少しの段差から飛び降りただけで骨折することも。活発な性格のワンちゃんですが、ソファからのジャンプなどには気を付けてあげましょう。

チワワには、頭部の泉門と言われる部分が開いたままになっている子がいることがあります。
これは頭蓋骨の接合が不完全な状態ですが、成長に従って頭蓋骨同士が接合することが多いです。ふさがらない場合は皮下のすぐ下に脳があるという状態ですので、頭をぶつけたりすると脳に影響があります。また、水頭症になる確率も高いといわれているため、頭に対する刺激や激しい振動は避けるようにしましょう。